受動態について
受動態とは
受動態とは、「動作を受ける側」を主語にして表現する文の形です。
通常、英語の文は 「誰が(主語) → 何を(目的語) → どうする(動詞)」 の順番ですが、受動態では 「何が(主語) → どうされる(動詞)」 という形になります。
(1)受動態の基本形
be動詞 + 過去分詞
- 現在形:is / am / are + 過去分詞
- 過去形:was / were + 過去分詞
- 未来形:will be + 過去分詞
- 完了形:have / has / had been + 過去分詞
- 進行形:is / was / will be being + 過去分詞(ただし、あまり使われない)
① 受動態の基本例(能動態 ⇔ 受動態)
能動態(Active) | 受動態(Passive) |
The teacher teaches English.(先生は英語を教える。) | English is taught by the teacher.(英語は先生によって教えられる。) |
They built this house in 2000.(彼らはこの家を2000年に建てた。) | This house was built in 2000.(この家は2000年に建てられた。) |
She will write a letter.(彼女は手紙を書くつもりだ。) | A letter will be written (by her).(手紙は書かれるだろう。) |
*「by + 動作主」 をつけることで、「誰によって」が分かるが、省略することも多い。
② 受動態の時制ごとの変化
時制 | 能動態 | 受動態 |
現在形 | He writes a book. | A book is written by him. |
過去形 | He wrote a book. | A book was written by him. |
未来形 | He will write a book. | A book will be written by him. |
現在完了 | He has written a book. | A book has been written by him. |
過去完了 | He had written a book. | A book had been written by him. |
未来完了 | He will have written a book. | A book will have been written by him. |
③ 受動態を使う理由
- 動作の受け手を強調したいとき
- A new hospital was built last year.
(新しい病院が昨年建てられた。)
→ 「誰が建てたか」より「病院が建てられたこと」が重要。
- A new hospital was built last year.
- 動作主が不明または不要なとき
- My bike was stolen.
(私の自転車が盗まれた。)
→ 「誰が盗んだか分からない」場合に便利。
- My bike was stolen.
- 客観的な表現をしたいとき
- It is said that he is a great scientist.
(彼は偉大な科学者だと言われている。)
→ 一般的な意見や伝聞を表現するときに使う。
- It is said that he is a great scientist.
④ 受動態にできない文(自動詞は受動態にならない)
動作の対象(目的語)を持たない 「自動詞」 は受動態にできません。
(✖) He sleeps. → (受動態にできない)
(✖)She goes to school. → (受動態にできない)
*ただし、「前置詞+自動詞」 の形で受動態になることもある。
The problem was dealt with.(その問題は対処された。)
⑤ 重要な受動態の表現
- It is said that ~(~と言われている)
- It is said that he is rich.(彼は裕福だと言われている。)
- be known to ~(~に知られている)
- He is known to everyone.(彼はみんなに知られている。)
- be made of / be made from(~で作られている)
- This table is made of wood.(このテーブルは木で作られている。)
- Wine is made from grapes.(ワインはブドウから作られている。)
(2)受動態で「by」以外の前置詞を用いる場合
通常、受動態では「by + 動作主(行為者)」を使いますが、動作の種類によっては「by」以外の前置詞を使うことがあります。
ここでは、特に重要なケースを紹介します。
① 「with」:手段・道具を表す
「~によって(手段・道具)」 を表す場合、「by」ではなく「with」 を使います。
例文
- The door was opened with a key.
(ドアは鍵で開けられた。) - The cake was cut with a knife.
(ケーキはナイフで切られた。)
*ポイント
- 「by」は「行為者(誰が)」を表すが、「with」は「道具や材料(何で)」を表す。
- 「~で作られている」の場合も「with」や「of」を使うことがある。
② 「in」:状態・状況を表す
「~の状態で」という意味で受動態に使われることがあります。
例文
- He was dressed in a black suit.
(彼は黒いスーツを着ていた。) - The room was decorated in blue.
(その部屋は青で装飾されていた。)
*ポイント
- 「be dressed in ~」= 「~を着ている(着せられている)」 のように、特定の表現でよく使われる。
③ 「at」:感情・反応を表す
受動態で「at」を使うと、「~に対して(感情や反応を示す)」という意味になります。
例文
- He was shocked at the accident.
(彼はその事故にショックを受けた。) - I was disappointed at his attitude.
(私は彼の態度にがっかりした。)
* ポイント
- 「be surprised at ~」「be shocked at ~」「be disappointed at ~」 など、感情を表す表現でよく使われる。
④ 「to」:対象・影響を表す
「~に対して(影響を受ける対象)」という意味で受動態に使われることがあります。
例文
- The rule was known to all students.
(そのルールはすべての生徒に知られていた。) - Her name is well known to the public.
(彼女の名前は世間に広く知られている。)
*ポイント
- 「be known to ~(~に知られている)」 の形は頻出。
⑤ 「for」:理由・評価を表す
「~の理由で / ~として」という意味で受動態に使われることがあります。
例文
- He is respected for his kindness.
(彼は親切さで尊敬されている。) - This book is famous for its unique story.
(この本はユニークなストーリーで有名だ。)
*ポイント
- 「be known for ~(~で知られている)」 と 「be known to ~(~に知られている)」 の意味の違い
- known for → 何で知られているか
- known to → 誰に知られているか
練習問題をやってみましょう。
次の①~③の文の( )にあてはまる語句を答えましょう。
*一つの( )には一つの単語が入ります。
① The story( )( )( ) him.
(その物語は彼によって書かれました。)
② I ( )( )( ) English.
(私は英語に興味があります。)
③ The painting ( )( )( ) cloth.
(その絵は布で覆われていました。)
解答
① The story (was)( written)( by) him
② I (am)( interested)( in) English.
③ The painting (was)( covered)( with) cloth.
今回はここまでです。それではまた次回。
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